ケルパンカ

Dの簡単解説その1 重水素

どうも、Dです。 皆さんは「D」と言われたときに何を思い浮かべますか? 無難に行くと英語アルファベットの4番目の文字?それとも、音階のレ? そうですね。重水素ですね。 繊度の単位デニールとか眼鏡の屈折率ディオプトリ―とかは本当に知らない子です。 調べるまで本当に聞いたことがありませんでした。 さて、重水素に話を戻しますが、ぶっちゃけなんそれって人も多いでしょう。 水素とは何か違うんか、「重」ってなんやねんと。 ということで、今回は重水素について以下の流れで軽く解説していこうと思います。

ウィキ読めばいいじゃんとか言うのはやめてね。 あと真面目で本格的な解説は期待しないでね。

重水素とは

まずは重水素について軽く説明します。 重水素は水素の同位体で、天然に存在する水素のうち、約0.015%が重水素です。%で見るとほんのちょびっとだけしかありませんが、宇宙単位でみれば水素が果てしない量あるので、0.015%でも超大量にあります。 重水素は簡単に言えば、まさに重い水素です。 そうは言っても何が重いのかと。そもそも水素ってなんやねんと。 じゃあ水素についてもすごくざっくり解説しましょう。

水素とは最も軽い元素であり、原子番号は1、元素記号はHです。 構造としては陽子が1つ、電子が1つという非常にシンプルな原子となっています。 一般的にはこれ以上に軽い原子は存在しません。ポジトロニウムとかそういうものを含めるとまた話が変わってきますが、話が逸れすぎるのでここでは一般的な世界で話を進めましょう。

では再び重水素に話を戻しましょう。 重水素は陽子1つ、中性子1つ、電子1つで構成される原子です。原子番号は陽子の数で決まるので、重水素も1ですね。 元素記号は基本的にはHですが、水素との区別のためにDと表記することもあります。これはデューテリウム(deuterium、ギリシャ語で「2番目」を意味する「deuteros」が由来)の頭文字から取られています。 水素原子に中性子が加わっている分「重い」ので、重水素ということです。英語でもheavy hydrogenというのでわかりやすいですね。 また、原子核に中性子が2つある水素を三重水素やトリチウムといいますが、これは少し前に話題になった処理水問題で聞いたことがある人も多いでしょう。それに比べて重水素ってなんか知名度低いよね。 ちなみに水素のことを軽水素ということもあります。わかりやすくするために、この記事内でもこの先は水素のことを軽水素と表記します。 さてもうおわかりでしょうが、重水素と軽水素の違いはたった一つしかありません。 原子核に中性子があるか、ないか。それだけです。

水素と何が違うの?

じゃあ中性子があるのとないのとで何が違うのかと。そんなに何か大きく変わることでもあるのかと。 ぶっちゃけどちらも安定同位体なのでそこまで大きな違いはありませんが、少しだけ異なります。 物理的性質としては、中性子一つ分質量が大きいこと以外に、D2(重水素分子)や重水(D2O)の沸点がH2よりも若干高いことが挙げられます。 化学的性質としては、重水素の方が軽水素よりも化学反応がしにくいという特徴があり、これは重水素効果と呼ばれます。 まあ違いといえばこれくらいですかね。 ですが、この違いによって重水素がいろんなことに役立つのです。

重水素の用途

では、どんなことに役立っているのかを少し紹介しましょう。 まずはスケールの大きい話から。 重水素は軽水素よりも核融合がしやすく、褐色矮星と呼ばれる天体ではこの反応が起こっています。そして、軽水素が核融合を起こせるほどに質量が大きい天体は恒星となります。太陽は軽水素が核融合しているので恒星ということです。 重水素同士の核融合(D-D反応)よりも、重水素と三重水素の核融合(D-T反応)の方が起こりやすく、未来の発電方法である核融合発電にはこの反応が用いられる予定です。人工太陽とかそういうやつです。 また、重水素は重水(D2O)という形でも使われます。さっきちらっと触れたやつですね。 この重水は原子炉の中で中性子をうまく減速させる減速材として大活躍しています。重水炉というやつです。軽水でも減速させることはできますが、中性子を吸収しにくい分重水の方が効率がいいのです。 ちなみに、重水は天然中にも微量に存在します。純粋な重水を少し飲んだくらいでは問題ありませんが、もし体内の水分すべてが重水に置き換わってしまうと、生物は生きられないそうです。体内の水分を重水に変えてイメチェンしようと思ったそこのあなた、気を付けましょうね。

次に小さな世界についてお話ししましょう。 化学においては分子中の軽水素の一部を重水素に変えることで、化学反応の速さの違いを調べたり、調整できたりできます。重水素効果で反応速度が変わることを利用しているんですね。 また、これを応用して薬学の分野でも活躍しています。医薬品内の原子の一部を重水素に変えることで、体内での分解速度を調整できたり、副作用を抑えたりできます。このような医薬品を「重医薬品」または「重水素化医薬品」と呼びます。

つまり重水素は、軽水素よりもほんの少し重いというだけで、宇宙や原子炉といった特殊な世界から、薬のような身近なところまで様々な環境で活躍する器用なやつなんです。

総括

ということで、今回は重水素について軽ーくですが解説させていただきました。重水素は相対的には重いけど、絶対的にはすごく軽いので軽い解説でした。重い解説を期待されてる方は論文とか読んでてください。 重水素はちょっとだけ重い水素ですが、その少しの違いで色んなことに役立つすごいやつです。 今後どこかでその名前を聞いたら、「お、あのちょっとだけ重いやつか」くらいに思っておいてください。

以上、Dでした。